生活保護の窓口は、威圧的な警察官OBを配置するのを今すぐやめろ


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この記事にも書いたとおり、昨日は役所へ先月分の収入を申告してきた。正月三ヶ日最終日の昨日だったが、午後2時すぎに行ったということもあったからなのか、生活援護課(生活保護を担当する部署)には、そこまで人はいなかった。

これはあまり知られていないと思うが、生活援護課の窓口には毎回と言っていいほど、見た目がイカツイまるでチンピラのようなおじさんが仁王立ちしている。昨日も当然のようにいた。パンチパーマに紺のダブルなんか着ちゃって、完全にあっち系の人かと思わせるような風貌だ。そんなイカツイおじさんは誰かというと、警察署から天下りをしてきた警察官のOBである。

僕の場合は作年の4月から保護を受けていてもう顔を覚えられているのか、今は特に何も言われない。しかし、保護を受ける前の申請に行った際には、いきなり「あなた、今日は何しに来たの!?」と言われて面食らったのを覚えている。僕のような男でも多少は恐怖心があるのだから、年配の人や女性はもっと怖がるのではなかろうか。

かつて、1980年代から2000年代前半ごろまでの役所は、生活保護を申請しに来た人へ威圧的な言動や嘘を言って追い返す「水際作戦」というものが、役所では当たり前のように行われていた。僕の知り合いの受給者の方々の中にも、

  • まだ若いんだから働きなさい
  • 実家に戻って親に養ってもらいなさい
  • 家のない者(=路上生活)は受けられない
  • 65歳になるまでは受けられない
  • この街では受けられないから他所へ行きなさい

こういったような事を言われて追い返されたり、半ば無理やり劣悪な施設に入れられたりすることもよくあったようだ。20年前の路上生活者の中には、65歳になるまでを路上で過ごし続け、65歳の誕生日と同時に保護の申請に行った人も多くいたという。

リーマン・ショックが発端となって起きた、2008年ごろの世界同時不況。この頃に製造業を中心して派遣社員が続々と解雇される、いわゆる「ハケン切り」が盛んに行われ、生活保護を申請する人々が急増した。東京都の日比谷に建設された「年越し派遣村」は、まだ記憶に新しい人もいるのではなかろうか。

その頃を境に、前述した水際作戦は「露骨には」減少した。しかし、まだまだ本音レベルでは、役所は生活保護を申請する者は極力排除したいと願っているだろう。その証拠の1つが、前述した警察官OBを窓口に置くことである。

まあ、仮に理由を聞いたところで本音は口にせず、きっと「窓口に来て職員に暴言を吐いたり暴れたりする人を防ぐため」というようなことを言い出すに違いない。実際、そこの窓口には「職員に暴言を吐いたら警察に通報します」というような貼り紙がされているし。

しかし、僕は月に一度ぐらいの頻度で窓口に行くが、その時に申請に来たような人のことを「あなた、今日は何しに来たの!?相談に来たんですか!?」というような、威圧的な口調で聞いている場面を幾度か目撃してきた。

前述の通り、僕が申請に行った時もそれはされたし、その時は支援団体の方に同行してもらっていたのでスムーズに申請にこぎつけることができたが、もし一人で申請に行っていた場合、あれこれ理由をつけて追い返されていたかもしれない。

日本の生活保護制度は、「濫給(受けるべきでない人が受けていること)」よりも「漏給(保護を受けるべき人が受けれないこと)」の方をむしろ問題点にすべきである。

よくあいつは不正受給だの受給者は甘えだのと、ネットを中心に盛んに言われている。実際、生活保護に関する役所への問い合わせの大部分は「近所のあいつは不正受給をしている」というような通報だと聞く。

不正受給などの濫給はもちろんゼロに近づけるべきだが、実は、濫給は受給額全体のわずか0.4%しかないというデータがある。その一方、漏給は受けるべき困窮世帯のわずか1.6%しか受給できていないというデータがある。

★参考記事: 生活保護問題対策全国会議 -10月10日、〈「生活支援戦略」に関する厚生労働省案に対する意見書〉を発表

濫給を放っておけと言うつもりは全くない。しかし、濫給よりも漏給をなくすことを最優先にすべきなのは、火を見るより明らかなのではないだろうか。海外に目を向けてみると、特にヨーロッパは生活保護に関する周囲の理解度が深いと感じさせられる。特にイギリスでは、申請書が郵便局など他の書類と一緒に置いてあり、目に見える場所に当然のように置かれているという。

他の国でも、フランスでは「ノブレス・オブリージュ」という思想が浸透しているからなのか、貧しい人が社会保障を受けるのは当然という考え方が根付いていると聞く。その証拠に、フランスでの生活保護の捕捉率(受けるべき人がどのぐらい受けられているかの割合)は、日本の3倍以上である5.7%というデータがある。

★参考記事:フランスではあり得ない生活保護バッシング | 東京に住む外国人によるリレーコラム | コラム | ニューズウィーク日本版 オフィシャルサイト

最初にこの記事を見た時は、正直「ここまでするのか……w」と思わず失笑してしまった。この数十年間、何とか申請させないようにしようと間違った方向に知恵を絞ってきた日本の自治体は、確実に世界(特にヨーロッパ)からも失笑されていることだろう。

表面上は、生活保護に対して寛容になったように見える日本の自治体。しかし、根っこの部分ではまだまだ変わっていないなと感じる。それを垣間見ることができるのが、各役所に配置されている「警察官OB」の存在だ。いい加減、生活に困窮している人をさらに追い込むような真似はやめてほしいと、説に願う。

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